There are many ways to be human
こんにちは。
空を見上げながら、久石譲さんの「summer」を聴くのが、
私にとって最高の夏のひと時です。
夏休みももうすぐ、とその前にテストやファイナルエッセイが行く手を阻む時期ですね……はぁ。
私の大学のゼミの研究テーマは
主に映画を題材とした、ナラティブ理論、ジェンダー、比較文化などといったフィールドにあります。例えばこの映画技法にはこんな意図が含まれている、だとか、タバコを吸う女性からイメージするものは強さ?てなことをオールイングリッシュでディスカッションしたりします。おかげで普段あまり見ないような白黒映画や(見たくないけど見てみたい)サイコ映画を見てきました。古映画ってロマンたっぷりです。
私は今期のファイナルエッセイで映画「The Danish Girl」を扱おうと思ってます。テーマがジェンダーだったので。
これは今から約90年前に世界で初めて性適合手術をうけた、実在する人物を描いたノンフィクション作品です。舞台はスカンジナビア諸国はデンマーク。(北欧はこんな時代から、そういった教養が先を言っていたのだなぁ、と思う) 実は日本での公開前にアメリカで見ていたのですが、その後実際にデンマークはコペンハーゲンに行って、同じ光景を目の当たりにして、えらく興奮したのを覚えています。(詳しくは北欧旅行記事へ)
上に述べた通り、この映画はジェンダーマイノリティについて考えさせられる作品です。私がアメリカでLGBTQに関する授業を取っていたことは、過去の記事で少しだけ触れたかと思います。essayのために色々と調べていて、その時のことを幾つか思い出したので綴ってみたいと思います。
まず最初の授業のとき、名前より先に聞かれたのが、「what's your pronoun?」pronoun=代名詞なのですが、頭の中は???、……あぁ、なるほど。わたしは「female.」と答え、この授業が取り扱う内容を再確認。私がその教室でいつも座る席の隣に座っていたのは、自身はバイセクシャルというアート好きの学生。バイセクシャルとは同性にも異性にも性的な魅力を感じる人です。また後ろに座っていた、自身をエイセクシャルとする、超ドライだけどクラスの盛り上げ役な学生。エイセクシャルとは恋愛感情や性的欲求を持たない人です。すこし離れて座っていたのは、トランスジェンダーと言っていた学生。いつも机に足を乗せていて、私は内心ハラハラさせられました(笑)
私は日本ではあまりオープンではない、且つ、基礎知識や単語の意味、また彼らのコミュニティの広がりについて学んでみたかったので、この授業を受講しました。始まってみるとなんとまぁ、教室に先生何人いるんだってぐらい、学生たちの知識がすごいんです。自身がそういったアイデンティティなら、あたりまえの事かもしれませんが、知識よりもその考え方が、斬新というか、わたしの常識を覆すというか。一方でみんな主張は強いのだけれど、そこには裏付けがきちんとあって。印象に残った場面を言うと、ある授業でバービー人形が多様性を重視していろいろな見た目(身長や肌色)をもつシリーズを発売したというニュースを取り上げた時です。みんながこれはいい傾向だ、という流れになって、私も確かに、ほぅほぅ、と思っていたのですが、後ろに座っていたクラスの盛り上げ役が一言、わりと真面目なトーンで、「なんでアジア人バービーはいないの?」と言いました。その時初めてわたしも、ほんとだ。わたしを含めて教室にはアジア人の顔立ちをした学生が数人。これを考慮したのかは分かりませんが、おそらく、シンプルに疑問に思ったのだと思います。
あたりまえに見ている事を、ふと考え直してみると、これは当たり前ではないんじゃないか、これでいいのか、と見えてくる事があります。例えば、トイレの表示は何故男性が青で女性がピンクなのか。相撲の土俵に女性が上がれないのか。なぜ父ではなく母国語というのか。一方で電車の女性車両なんかは別の話かもしれません。この思想が作り出し保ってきた伝統や歴史もあるかもしれません。ただ、このアメリカで受けた授業を通して、シンプルに、この世には当たり前は存在しないんだなぁ、と思ったし、私の価値観まだ狭いし浅いな、と思い知ったようなきがします。良くも悪くも。
ジェンダーと聞くと、なにかとっつきにくい、なんて思うんですが、考えてみることが、周り巡って自分や自分の生きる社会のためになったりするんですよ。
映画「The Danish Girl」レッドメイヤー好きはもちろん、とても重厚な作品なので、きょうみがあればぜひ。(英語字幕のみなら絶賛持ち合わせてます。)
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