人のお話を聴くinパリ【フォトグラファー・MIHOさん】
こんにちは。
先日のフランス旅行計画を立てていた時の私に、ふと1つのアイディアが舞い降りました。
”パリで働く日本人の方にインタビューが出来ないだろうか”
そこで以前雑誌で拝見した、パリを拠点に活動されている、フォトグラファーのMIHOさんにお会いしたい!そう思い、震える手でコンタクトフォームにたどり着き、無理を承知で取材の依頼を申し込みました。そして数日後、MIHOさんからお返事を頂き、なんとパリにてお会いできることに。
、、そうと決まれば不安なんて言っていられない!!!
しっかり準備に準備をしてお話しを伺おう、となんとか自分を落ち着かせ、フランスへ旅立ったのでした。
フォトグラファー・フードコーディネーターMIHOさん
1999年よりカメラマンとして独立。雑誌、広告、書籍を中心に活動。2004年、新しい食の形を提案する「saji」を創設。sajiでは、紙/WEB媒体のみならず、食の体験型イベント、ワークショップ、Foodingなどを東京、パリでしている。(ホームページより)
待ち合わせした場所は、パリきってのおしゃれ地区マレにある、ご紹介いただいたオーガニック野菜のスムージーやサラダが頂けるカフェ。私は大好きなキヌアサラダを頂きました。
(左はMIHOさんオーダーのグリーンスムージー。サラダ、刻み海苔が効いてて美味しかった!)
おいしくて身体にやさしいドリンクと料理が揃い、いよいよインタビューへ。
今回はフランス・パリを拠点に”食”にまつわる様々な活動をされているMIHOさんに、
生き方・ワークスタイルに焦点を当てて、お話を伺いました。(以下インタビュー)
現在のワークスタイルに至るまでの経緯を教えてください。
最初はアシスタントとして、料理やメンズファッションを撮るカメラマンさんのもとで働いていました。しかしメンズファッションの良し悪しは分かりにくくて、その時私は料理を撮る方が好きだと感じました。といっても好きなのは料理を“撮る”こと、することに至ってはまったく関心がなく、多忙を極めていた当時の食生活はひどいものでした。それから仕事を通して地方でローカルフードを取材する機会を頂いて、それがとても楽しくて、その頃から料理自体に興味を持ち始めましたね。またその時、自分が携わった女性誌のダイエット企画がすごく好評だったと聞いたとき、自分の写真が人に与える影響というものを、より一層考えるようになりました。その後、雑誌の企画現場で自分自身疑問に思う所があって。“食”って、“生きる”って、“本当に伝えたい事”って、なんだろう。そう思いました。そこで今度は自分の手で何か作ってみよう、それがsajiの始まりですね。また以前から旅が好きで、その延長線上で何かをしたいと考えていたので、海外を活動拠点にするという事も頭の中にはありました。
海外を拠点に活動、ということへの不安は?
不安・・うーん、海を渡る抵抗感はあまり無かったかもしれません(笑)特に海外にこれといったこだわりは無かったのですが、やはり住むとなると全く別ものですね。パリに住み始めて2年経ちますが、初めて来たのは10年前でした。当時はまったくの単身で、友達も人脈もない状態からのスタートでした。自分の足でお店に売り込みに行ったり、厳しい事を言われたり、時には騙されたり。本当に色々な経験をしましたが、こんな時でも負けなかったのは、日本でカメラアシスタントをしている時に経験した貧乏生活のおかげなのかもしれません。そこで生きる過酷さみたいなものを目の当たりにしながら、でもまぁなんとかなるだろう、と。そういった精神的な強さは培ってきたのかもしれませんね。もちろん、やりたいことがあるというモチベーションが最大のエネルギーでもあります。
現在発売されている『こどもサジ』(引用:http://artlabo.ocnk.net/product/5380)
フリーランスというスタイル、その苦労とやりがいは何ですか?
やりがいは、自分の撮った写真をクライアントさんが喜ぶ姿を直接見れること。ワークショップなどをしたときも、来てくださった人の声が直に聞ける事。これが一番のやりがいですね。大変なことってなんだろう・・サラリーではないところ?(笑) やりがいのほうが大きくて、大変なことはあまり浮かばないです。といいつつsajiを作っているときは、死ぬほど大変で、何やっちゃったんだろう、といつも思います。しかし先ほど述べた様に、本当に明確にやりたいことがあれば、何の苦にもならないのではないでは。私達カメラマンは、働き口がたくさんある訳ではないので、フリーで生活が成り立たない人の中には工事現場と掛け持ちをして働いている人もいました。逆に言うと、やりたいことがあって何かを犠牲にしてでもそれをやり遂げる強さ、みたいなものは、この業界の人たちにはあると思います。これが海外でも日本でも、活動していく力に繋がるのかもしれません。
これからの将来展望はありますか?
近いものでは、出したい本があるのでそれを出版したいです。あとはsajiの次回号を出せるように頑張りたいです。いつかパリにアトリエも持ちたいですね。また私のいるフィールドは、食をテーマにしているため、社会と密接に関わり、変化を必要とします。何年も昔は家族みんなで食卓を囲むことが普通だったのに、現在はそれが当たり前では無い、と変わっていったように。よって、ある状態をキープしていくことも必要ですが、ベースにある自分のやりたいことがブレなければ、それを取り巻くものが変化することは良いことだと思います。これが出来るのも、フリーランスというスタイルの利点なのかもしれません。変わることを恐れずに、成長していきたいと思います。
2016.9.21 パリにて
(取材・文 瀬島咲希)
お会いすると気さくで穏やかな雰囲気、だけど芯の通った強さを持つMIHOさん。お話しをすればする程、その世界観に引き込まれていくようでした。
”贅沢なものを食べるだけが、食の豊かさではない”
以前雑誌の記事で拝見した、MIHOさんのこの一言。振り返ると、旅行中に友達とお洒落なテラス席で食べたクレープも絶品だったけれど、近くのスーパーでササッと買って、椅子より低いテーブルで食べたカレーパスタとサラダもすごく美味しくて、幸せな時間だったなぁ、と。
素材やバランス、食べもの自体に意識を置くことも”食”に関係する。
誰とどのように食べるか、という時間として捉える”食”もある。
MIHOさんが仰っていたその”食の豊かさ”なるものに、更に関心がわきました。
こうして何人もの方々にお話しを伺うたび、この世界にはまだまだ知らない世界が広がっていて、
その生き方の選択肢もごまんとあるのだなぁ、と感じます。またそこには優先順位だったり、リスクだったり、様々な障壁も存在しますが、いかに自分らしくいられるのかという事を追い求めた先に、居場所みたいなものを見出せるのかもしれない、と今回のお話しを通して思いました。
・・・自分らしさ。
今自分で書きながら、これまた難解で重要なワードだと思います。
次回はそんな”自分らしさ”がキーワードになるであろう、パリでお会いしたもう一人の日本人、フリーライターの中村綾花さんのインタビュー記事です。(なんと)知ってびっくり意外な共通点あり、良かったらご覧いただけると嬉しいです~
Au revoir! ←さようなら、言えるのをいいことにフランスで連呼してたワード
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