人のお話を聴くinパリ②【フリージャーナリスト・中村綾花さん】
こんにちは。
前回の記事の、パート2です。パート1もお時間がありましたら見て頂けると大変うれしいです。
時間は再びさかのぼり、フランス旅行を計画している時の私。
インターネットで、「パリ、日本人、フリーランス」と言うキーワードを検索していたら、あるフリーライターさんの記事にたどり着きました。
”世界中のLOVEについて発信している”
なんておもしろいタグライン、、!興味を持った私は、ライターさんのプロフィールを見てみることに・・・・・あれ、私の大学の先輩?えええええぇ!私の通っている大学は、地方の小規模な公立大学。これまで学外での先輩方との繫がりが沢山あった訳では無かったので、ましてやパリに、すごく驚きました。これはもう、コンタクトをとるしかない、とまたまた震える手でコンタクトフォームにたどり着きます。そして数日後、取材OKのお返事と共に、私がパリに来た時の注意点まで教えてくださるという、お会いする前からその優しさに触れ、早くお会いしたいなぁという気持ちを胸に、フランスへ旅立ちました。
フリージャーナリスト 中村綾花さん
ラブジャーナリスト、ライター。1980 年福岡県生まれ。県立長崎シーボルト大学(現・長崎県立大学シーボルト校)国際情報学部情報メディア学科卒。2010 年に「世界婚活」プロジェクトを立ち上げ、世界婚活の旅へ。2012 年、世界婚活中に出会ったフランス人と結婚し、現在はパリにてLOVEを調査中。(https://cakes.mu/series/3055より)
現在はパリ郊外にある町にご夫婦でお住まいで、元々はテレビ業界でバリバリ働きウーマンだった綾花さん。執筆された『世界婚活』という本や、webサイトに寄稿されている記事を拝見すると、思わずクスッと笑ってしまうフレーズやバラエティー豊かな表現力。そして、かゆい所に手が届く、人々の心の代弁者のようなオピニオンの数々。そのアイディアの源や現在のワーク・ライフスタイルに至った経緯について、お話を伺いました。(以下インタビュー)
テレビ業界のお仕事から一転、海外に目を向けるようになったキッカケは?
元々、学生の頃から海外にはとても関心がありました。でも留学となると勇気が出なくて。なので20歳の時に、アルバイトをして貯めたお金でニューヨークに行きました。それが当時の私にとって本当に衝撃的で。スーパーで歌いながら買い物をしているおばちゃんを見て、スーパーで歌を歌っていいのか!飛行機に乗るとこんなにも違う世界に来れちゃうのか!って。(笑) その大学生の時に経験したことが、働き始めてからもずっと印象に残っていて。いつかあそこに戻って生活してみたい、そう思っていました。そんな中、働けば働くほど現実的な事が見えてきて。もう一年、もう三年、と思って頑張りましたが、結果的には体力の限界でした。そんな時に自分が頑張って携わった番組企画が大きな賞をとり、これは仕事を離れる良いタイミングだと。そして憧れだったニューヨークの街へ、遊学という形で再び訪れることになりました。
それから世界を旅するフリーライターへ?
“世界婚活”という本にある通り、当初は愛を探す旅に出て、LOVEを発信するライターになろうと思いました。というのも、多忙すぎた日本での社会人生活を経て、自分は本当に結婚が出来るのだろうかと不安に思った時期がありました。そんな時、婚活の場は日本だけではないと気づかされ、このプロジェクトを立ち上げました。私自身もこの旅の中でフランス人と結婚し、フランスに住みながら現在のワークスタイルに至っています。もちろん、フリーライターとして働くことに不安はありました。なので日本で同じ職に就いていた先輩方に話を聞いたりして、フリーといっても様々なスタイルがあることを知りました。私は主に、日本の出版社やWEBサイトに記事を寄稿しており、現在二冊目の本を執筆しています。とは言っても皆さんの気になるところ、ライター業一本で生活することは簡単ではありません。色々なアルバイトをしたり、フランスにいたっては、フリーランスの人向けの行政の仕組みや国全体の福祉制度が整っているので、これも生活していく上での大きなポイントかもしれません。
『世界婚活』<アイデアリンクシリーズ 朝日出版社>(引用:www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255006949/)
フランスを活動・生活拠点にして何か変化は?
フランスに来てから自分の軸がしっかりしたように感じます。日本にいた時は、他人の尺で自分を測ったり、合わせる基準が存在したりして。変な話それが苦痛でもあり、安心でもありました。しかしフランスでは、他人と比べるよりも自分を持ってなんぼ、という思想が主流だと思います。そういった合わせる基準が一切なくなった時、一つひとつのことを自分の判断で問い直すという作業をしました。そしてやっと、“自分がどうありたいか”ということに今まであまり考えていなかったことに気がつきましたね。おかげで今では、どこにいても自分らしくいられる気がします。また先でも述べたように、ライター業の収入で補えない部分は、生活を工夫していく必要があります。よって日本に居た時では考えられないくらい、生活レベルを下げていると思います。外食よりも、ホームパーティーや川辺でピクニック、ご近所さんと道端で拾ってきたゴミインテリアを自慢しあったり(笑)でも不思議と、日本に居た時よりも生活するのが楽しいですね。この心が満たされた感覚は、東京で働き詰めだった頃には、感じることは出来ませんでした。
今後のキャリア・ライフビジョンは?
今執筆している二冊目の本を無事に出版させることです。あとは無理しないこと、健康第一。あ、家のリフォームを完成させることもですね。こうして改めて見てみると、いろんなライフスタイルの選択肢とロールモデルが、どうしても日本には少ないと思います。それは昔の自分には見えていなかったことでした。よってこれからは、同じ世代の人はもちろん、色々な世代の人に執筆活動を通して伝えていきたいと思っています。書けば書くほど自分の技量の足りなさを思い知ることもまだまだありますが、書くことは一生やり続けることだと思いますね。
(同じ大学の先輩として)学生へ一言お願いします!
限りある時間、社会や大人を怖がらず、いろんな人に会う事を惜しまないでほしいと思います。学生という身分、失敗を恐れるのはもったいない!そんなに怖がる必要はありません!知ったつもりでは何にもならない、色々な世界を見てみてください。
2016.9.22 パリにて (取材・文 瀬島咲希)
初対面のはずなのに、以前から仲の良い後輩と先輩のように感じる程(私だけかもしれません、すみません)、とても丁寧で物腰の低い綾花さん。プロフィール上の写真を撮らせて頂くときも、「この壁紙いい感じですよねぇ~」とパシャリ。パリにある日本の出版社にも行って、行く先々で私の事を「私の大学の後輩で・・」と紹介して下さって。このご縁を大切にしたいなぁと心から思いました。
”世界中を旅して、婚活をする” この一文だけを見ると、なんだか凄いことだと思う人も多いかもしれません。(私も最初はそうでした)しかし綾花さんは、”婚活”というひとつの名前を持った旅の中で、自分に嘘をつかず一歩ずつ進んでいった先に、おのずと自分らしさや自分の幸せを見つけていた、お話を伺っているとそのように感じました。誰でも選択肢はあって出来る事もたくさんあるけれど、それに気が付いていない。だからすごい事に見えるのかもしれません。もちろん海外に一人出ることは簡単なことではないし、わたしには想像できない領域です。しかし誰しも、何かを始める時や挑戦するときには、何かキッカケがあって、それもなるべくしてその人の元に巡ってくるのかもなぁ、と少し確信しそうです。
前回のフォトグラファーMIHOさんのインタビューでも共通して感じたのが、自分らしさや目的をもって生きる人の強さです。最初はフリーランスという働き方に興味をもった自分でしたが、どんな働き方にも自分なりの誇りを持つことが大前提で、同時に、いろんなことを考えなくちゃいけない世界で、自分らしくいることって、ある種の強さだと。・・といいつつ私もまだ学生のペーペー身分、考えも、ものの見方も、これから変わっていくかもです。しかし”今の自分に何が大切なのか”と考えることは、その時のそれぞれの自分に出来る事なのではないかと思います。
出会いは成長の種。いろいろな人に出会う。綾花さんが仰っていたこと、残りの学生生活でどのくらいできるかなぁ~と思いを膨らませながら、また新しい一週間が始まろうとしています。
記事を読んでくださった方、そして前回を通してインタビューをお引き受け頂いたMIHOさん、中村綾花さん、ありがとうございました!
それでは皆様、Bonne journée!(良い日を!) ←コンビニのおっちゃんに言われて覚えたフランス語。
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