いろいろな連鎖のはなしin京都②
こんにちは。
昨日ある記事で、歩きながらスマホ、略してアホ、
というフレーズを目にしました。
なんて手っ取り早く潔い伝達方法なのだろうと思いました。
気を付けよう・・・
はい、今回は京都旅Vol.2を綴らさせて頂きたいと思います。
前回の記事ですが、ご紹介させて頂いた誠光社さんが
ツイッターにてシェアをしてくださいまして、
再度、この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました、、!
(また誠光店主さまに、前記事でわたしが出くわした大行列は、”葵祭”というお祭りであったと教えて頂きました。すみません、ありがとうございました!)
長崎からはるばるご来店いただいたお客様のブログ。ありがとうございます。「いろいろな連鎖のはなしin京都|bloomhope」 https://t.co/uTvQMyJb4S #amebaownd
— 誠光社 (@SEIKOSHABOOKS) June 2, 2016
この古都旅も後半戦、引き続き京都は東の方向へ てくてく。
白川通りエリアへ向かいました。
どこか見知らぬ土地へ行ったとき、自分のちょっとしたポリシーに
していることがあります。けっこう歩くことです。
バスや電車から移りかわる景色をみるのは大好きなのですが、
歩いて20~40分以内の範囲に目的地を見つけて、且つ
時間に余裕があるときは、自分の足で開拓しにいきます。
徒歩という手段でしか味わえない時間のペースとか、
道端のいきものとか、看板標識とか、
自分の知らない時代をずっと見つめて来たに違いない。
こうやって気ままに歩いていると、不思議と立ち止まって
深呼吸をしたくなります。はたから見るとなんてのんきな奴(笑)
・・といいつつ上みたいな看板を見ちゃったり、
お腹が減っている時は、つい早歩きになってしまうものです。
色々なタイミングが重なって、この日はこちらへお邪魔しました。
京都造形芸術大学からほど近い、細い路地を曲がった先に
真っ白なペンキで書かれたやわらかい文字を発見。
隠れ家的お店を見つけた時って、宝探しをしているみたいになります。
中に入ると、こんな感じでお洒落にレトロさを持ち合わせた
洋食屋さんがあるのか、と思うような素敵空間でした。
奥の大きなテーブルに私と同じような学生さん2人組が
座っておられたので、相席を頂戴することに。
私はもう、旅のバイブル(前記事参照)を見て注文すると決めていた
カニクリームコロッケを注文しました。
お料理を待つ間、目の前に座るお二人組と談話。
伺ってみると、おふたりとも芸大生さんだそうです。
今日の何時までに作品を終えなきゃ、みたいな会話をしておられたので
(おぉ、これが芸大生・・・クリエイティブ・・・!)
あの、私何もわからないんですけど、
芸術の世界って本当に正解なんてないですよね、奥深いです。
と思わず言ってしまったら、「そうなんです、そうなんですよ・・」と
深いため息と予想以上の同意を頂きまして、
やはり私には足を踏み入れられない凄い領域だ!と思いなおしました。
こんなただでさえ正解のない時代に、アートや芸術に力を注いで悩む姿、
わたしには眩しくて仕方ありませんでした。
そうこうしているうちに、カニクリームコロッケが到着。
これが、本当に、美味しくて、たまりませんでした。
コロッケがみっつ、トマトソースの上に放射線状に並べられていて、
薄い衣からあふれ出すトロトロクリーム(だめだ、わたしのこれじゃ感動が・・)
人生で何度目かの、本気で、本当に、ほっぺたが落ちるという言葉を使いました。
そんな至福の時間をかみしめていた時、前にすわっていた芸大生さんが
私が本屋さんや出版社さんの旅をしている、と言ったら
「あそこ、いかれましたか?ガケ書房さんが移転された・・・」
この後に訪れる予定だったホホホ座さんの前身が、
ガケ書房さんだと伺っていたので、・・はっ!と思いました。
近くにいたので紹介して下さったのだと思いますが、
行く先々で、次に自分が向かう場所へのお導きに出くわすものなのですね。
素敵な芸大生おふたりに「のこりの京都も楽しんでくださいね」
と言って頂き、食堂での出会いを後に。
お店の店主さんも、静かに黙々と料理を作る姿が印象的でしたが、
最後に、美味しかったです。ごちそうさまでした。と言ったときの
少し微笑んだ姿にきゅんとしました。
そしてしばらく歩くこと約20分、大文字焼きの字が
すぐそばに見えるような、とても落ち着いた住宅地の中に、
ホホホ座さん。京都を拠点に活動されている、編集企画グループさんです。
ホームページはこちら:
店舗は一階の書籍・雑貨、二階の古書・雑貨と分かれていて、
事前に連絡させて頂いた時間より少し早く到着したので、
一階の店舗を拝見することに。
ネットのインタビューで店主の方がおっしゃっていた、
”お土産屋さんのような”という言葉通り、
書籍はもちろん、作家さんの雑貨やコラボグッズや、
一人で見て笑ってしまったシュールなおじさんが描かれたキーホルダーまで。
小物好きなわたしにはたまらない空間・・・ホッ
そして約束していた時間が近づいてきたので二階店舗へ。
上で少し述べましたが、実は事前に(震える手で)ぜひお話しを伺いたい、
という胸の内をメールにてお伝えしたところ、「ご来店お待ちしております」と
お返事を頂き、プチ取材を決行させて頂いたんです。
二階は一階とはうってかわり、まさに古書店の雰囲気を醸し出す空間。
古いものがたくさん並ぶだけで、何だか別の時の流れを感じるようです。
今回お話しを伺ったのは、ホホホ座二階店主・松本伸哉さん
落ち着いた店内の空気が私にすり足をさせ、やっとのことでレジの前にたどり着き
松本さんと最初のご挨拶をかわした時、私の心の中で、何かがひっかかりました。
・・ん?なんだろう、これは・・ 自分でもよくわかりませんでしたが、
ひとまずインタビューに集中しようと、お話を伺いました。
ここからは、私からいくつか質問をさせて頂いたことについて、
載せていきたいと思います。
(以下、質問・インタビュアー:私、ホホホ座松本さん:ホ)
“ホホホ座”という名前の由来はなんですか?
ホ:文字の見た目・ディティールです。縦書きにしても横書きにしても左右対称で一本の線で文字がつながるので。(写真参照)あとお店の看板が大きいのは、単純に目立つように。最近小さな看板を掲げているお店が多い気がしまして。
私:なるほど、おもしろいですね。○○座っていうのも何だか昔の映画館のような、レトロでノスタルジックなイメージですね。
京都で編集企画グループとして活動をする思いとはなんですか?
ホ:特に・・ないですね。京都に住んでいるので。京都で出来る事、そのアドバンテージは生かしたいと思っています。
私:なるほど~地域に根付いたお店の姿や様々なイベントはそういった点から生まれるのですね。
ホ:お知らせしているイベントのほとんどは、持ち込み企画なんですよ。バラエティーに富んでいるように見えるのは、そのせいかもしれません。あと、私たちは町や地域のためではなく、「真っ当なお店」をやりたいだけです。あくまで自分たちのため、商売のためです。人間の住む町、お店っていうのは、需要と供給で成り立っているので、その中で皆さんの需要に答えることが出来ればいいな。と思っています。結局は自然発生的に出来上がって行くものが一番強い気がします。もともと、そうして商店街とかも出来上がって行ったので・・・町本来の姿を取り戻したい。という思いはあるかもしれません。今の世の中が、そういうタイミングにあるような気がします。
大学生に読んでほしい一冊はありますか?
ホ:一冊じゃだめですよね(笑) とにかくたくさん読む。本を読むことは、寄り道であり、たしなみであり、娯楽です。よってそこから何を学ぶのかは自分次第ですが、あまり見返りを求めすぎないほうがいいかもしれません。決まりごとが多い「就活」と呼ばれるものがある学生さんにとって、寄り道するのは勇気がいることかもしれませんが、読書はすぐに結果が出るものではなく、後になって「こういうことだったんだ」と気付くものです。後々、その差はずいぶん出て来ると思います。
私:分かります。ただダラダラするのではなくて、裏付けの上で寄り道をするということですよね。
今の時代の本や出版物とはどんな存在ですか?
本は自分自身と向き合うための道具です。好きなときに、好きな本を読めばいいと思います。でも、それが、現代の人々には足りないような気がします。例えばSNSというものがありますが、実態や脈絡がない他者との関係を求めすぎではないでしょうか?「他人との関係性のなかでの自分」だけではなく、自分だけが好きなものを粛々と積み重ねていくことで個性が生まれます。また、本1冊のなかには、色んな要素が詰まっています。それは価値観の多様性も育てます。個性という柱を沢山立てていくことで、大きな一つのアイデンティティが生まれます。それを続けていけば、ずいぶん世の中生きやすくなると思います。
(インタビュー・文 瀬島咲希)
インタビューということを忘れて、松本さんの落ち着いた説得力のある
語り口調と深く頷いてばかりのお話に長く聞き入ってしまった私。
つたない質問やちょっとした疑問にも丁寧に答えてくださって、
一日の終わりになんて充実した考える時間を頂けたのだろう、と思いました。
時たま発せられる、「・・でも、僕たちも普通に使いますよ、アマゾン。」
などのフレーズに、関西の心意気を垣間見たのは私だけでしょうか。
一番印象にのこったのは、”真っ当なお店をすること”というワード
お店や町の本来の姿。今求められているもの。
真っ当に物事をする、ってシンプルだけど、簡単ではなくて、
でもそれがすべてなんだよなぁ、深いなぁ、と思いました。
またSNSのくだりでは、私たちの世代には耳が痛いとは
こういうこと、当てはまることが節々とありました。
他人への承認欲をもってする、とかです。
だから本を読むことって知識の得とくだけではないんですよね。
他人は一切介入しない、読み手と書き手の関係。
単純に、本を読みます。もっと読みます。
アホ、なんてもってのほかです。
最後の方で、わたしのこの旅のいきさつ、みたいな話も
すこしさせていただいて、
「ちょっとやりたいことをやってみようかな、と思いまして」
と言ったとき、松本さんがおっしゃった一言、
「でも、そのあとに何をするかが大事。本質をみることです。」
・・・
ここで最初に感じていた、私の心の中でひっかかっていた何かが
スルリと紐解きました。
その雰囲気やお人柄、淡々とした語り口調や私の話に頷いてくださる姿、
私の中学の時の恩師に、本当にそっくりなんです。
先生は少し、コワめルックスで、でもめっちゃ温かいお人で、
口癖のひとつが「本質をみること」、
すごく覚えています。中学の同級生にも確かめたいぐらい。
少し私事に脱線してしまいましたが、私の中で完全に、
点と点が線で繋がった瞬間でした。
松本さんの、ここでは書ききれなかった、
たくさんのおもしろくてためになるお話し、まだまだあったんです。。
ここで共有できなくて本当に残念です。。すみません。。。私が独り占め。。
また帰り際には、私に文章を書く上でのアドバイスも下さって、
京都にも恩師が出来たような(勝手に思っている)、
ホホホ座さまーお忙しい中お時間を割いていただき、本当にありがとうございました。
この旅も何でも、やってみた後、何を思って、考えて、何かを見つけて、
そこからがほんとうの始まりなんだなぁ、
と最後に教えて頂いたことを心の中でつぶやきながら、
ほんの少しの達成感と共に、
京都駅に向かうバスに乗り込みました。
その夜、タイムリーにも中学の友達と夕食、
話題の紹介はニードレスということで。
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